雪解けした時に現れた、真っ赤な椿を描きました。
これは救世軍清瀬病院の公募展で発表した作品です。
元々日本語ですと、
「愛があってこそ、枯れない」
というタイトルの作品です。
ちょっと昔に遡って・・・
私は大学を卒業して働き始めた後、私は絵を描くことをお休みして、ちょっと心身の余裕が出てきて絵とは違うことに色々手を出していました。
友人のお手伝いで講演会やコンサートのDMを作ったり、舞台美術のセット作ったり・・・。
絵を描くことはひたすら孤独な一方、そういった事は誰かのためになるし、喜ばれる。
自分のスキルも上がっている感じがして、色んな人と達成感も共有できる。それがとても楽しかったのです。
コツコツ絵を描かなくても、生きていける!もう最高に幸せ!と感じている自分がどこかにいました。
そんな日々を過ごして数年後、音大生や美大生など、芸術の道に進んだ複数の友人と集まって会うことになりました。
嬉しい再開ではありましたが、それぞれのセンターで活動を続けている人たちの姿をみて、
じわじわと焦り、そして心の中にぽかっと穴が空いている感覚がしました。
自分が誰かのお願いを引き受けて頑張ってきたことは、人のためではあったかもしれないけれど、
自分の心の中を実際覗いてみると、それらでは満たされず、穴が空いて風が通っている。
この穴を埋めることができるのは、自分が今まで必死でやってきた、
でも大変だから、理解されないと辞めていた絵を描くこと。
それでも大切な人生の一部だったものを、どうして忘れていたのだろう。忘れていられたんだろう。
・・・こんな感じで、心の中で反省しました。
そしたら、突然脳裏に分厚い雪が雪解けして、真っ赤な椿が現れた場面が降ってきました。
そしてそれを見て、ブワッと言葉に言い表せない感情が頭の中パンパンに膨らんでいきました。
友達の前にいながら声を上げて泣き出しそうでした。
椿って、とても強い花ですよね。
枯れる時でさえ、花びらを損なうことなく丸ごと落ちますし、それも美しい。
常緑樹で、四季が変わっても枯れることのない艶やかな葉っぱも存在感があります。
椿は日本の花言葉だと「控えめな美しさ」等が存在するらしいのですが、
英語だと
You’re a flame in my heart perfection
という、まさにそれそれ!という感じの花言葉でした!
私にとっての椿は、不死の愛、変わらない愛、枯れない愛、燃えてる愛、強い心、
とにかく強烈なエネルギーを秘めた存在になりました。
長くなりましたが、そのような出来事があって、脳裏で雪解けした椿を見た時から心の穴はどこかへ消えて、
私はもう一度作品制作に戻ろうという気持ちでいっぱいになって、まずはこの作品を描きました。
私にとって、作家活動は長らく雪で埋もれていた、死んでいたと思っていたところでした。
ところが時が来て、若い芸術家たちの熱気のせいなのか積もっていた雪が溶け、
燃えるような椿のように、しぶとく生きていたのを神様が見せてくれたのだと思っています。
雪に埋もれていても、じっと雪解けがくるまで生きて待っていた椿。
そのように、この作品を見た方々にも、
時が来て、心の穴を満たしてくれる大事な何かに再会できる日が訪れますように。
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