The tapirs which eat yume soba

「夢蕎麦を食べる獏」


今回は2018年の5月〜6月にロンドンの展示に出した作品の紹介をします。

「夢蕎麦を食べる獏」

これを描いたのは2017年の年末から翌年の1月にかけて。

その期間ちょうど体調が悪阻のせいで劇的に悪く、年越しそばやらお雑煮をチョビチョビ食べながら、吐く、寝込む、起き上がってなんとか筆を持って・・・

そんな感じで奇跡的に仕上がった作品でした。^^;

獏は昔からの伝説というか、悪夢を食べる動物として有名ですよね。

そして獏の食べた悪夢は二度と見ることがなくなると言います。

私の中ではあの独特の風貌をした獏という動物=夢を食べるという公式がいつの間にか脳内に刷り込まれていました。

10頭の獏が大きな器に入った夢蕎麦を囲んでひたすら食べています。

黒雲のような夢蕎麦を器用に箸で取りながら食べながら、休憩したり、そんな姿です。

私の作品は「夢」をテーマにしている世界が多いです。

実際に眠っている時に見た夢、ふとした時に何処からか降ってきた夢のような幻のような場面だったり、

日常で出会った様々なことを通して溢れ出る願望のような夢だったり、

私はとても夢をよく見ます。

旧約聖書の創世記の中に、ヨセフという人が解き明かした夢の啓示の話が幾つかあります。

その中で印象的なものがエジプトのファラオが見た、神様からの夢の啓示。

どんな夢だったかと言うと・・・「7頭の肥えた雌牛」が「7頭の肉付きの悪い醜い雌牛」にことごとく食べられた。

さらに場面が転換し、「丸く膨れた良い7つの穂」が「やせて東風に焦がされた7つの穂」にこれまたことごとく食べられた。というものでした。

当時エジプトに多くの魔術師や祭司がいたけれども、その夢の意味を解き明かしたのは唯一、ヨセフという人でした。

ヨセフはその夢は、エジプトの未来に関する神様からの啓示だと話しました。

夢に出てきた7頭の肥えた雌牛とげっそりした雌牛、7つの膨れた穂と痩せた穂を、それぞれ「豊作の年が7年」「飢饉の年が7年」だと解き明かしました。

この夢の啓示を下さった神様は、これからエジプトに7年の豊作の期間が続くけれど、その後の7年の不作の期間が訪れ、豊作の期間の豊かさを忘れ去ってしまうほどの大飢饉が来るのだと言う。

なので、ヨセフはファラオにこれから訪れる7年の豊作の期間は計画的に穀物を備蓄し、飢饉の期間に備えましょうという。

ファラオはこの夢の解き明かしを聞いてこれが答えだと確信して、ヨセフをエジプトのファラオの次の地位を授け、エジプト全土を巡らせその通りにしました。

その後、実際に夢の啓示の通り7年の豊作の期間になり、続くように大飢饉が訪れたのですが、エジプトは7年の備蓄のおかげで7年もの大飢饉を乗り越えることができました。

大飢饉に見舞われる中、国内では食料を求めて多くの人々が国に自分の土地を売り、周辺国からも穀物と引き換えに多大な売上をもたらしエジプトの国力はさらに豊かになりました。

と言う内容ですが、聖書のそのほかの箇所でも夢で象徴的に出てくる「数字」は「時間」を象徴すると言う解き明かし部分が沢山あります。

例えば3つの小枝=3日とか。

なんか普段の夢と違って象徴的な夢だなあと思った時には、これを思い出しながら「もしかして予知夢??」とか考えています。

この作品も獏が10頭いるのですが、ある期間を象徴しています。

その期間は、黒雲で目の前が見えないまさに悪夢のような期間でしたが、時間をかけて、10頭の獏たちが見事に完食してくれました。

私にとって、この作品は悪夢期間の完食記念と言うか・・・


その期間を越えて晴れの日を見れるようになった事。



そしてその日が来る事を信じて黙々と夢蕎麦を食べてくれた獏たちへの感謝を込めて描きました。