こんにちは〜
昨年台北でやらせていただいたPrism展、2018年は韓国の錦山という高麗人参の産地で有名な場所で開催しました!
この話が来たのは今年のジリジリ暑い真夏。
私が産休中、出産直前の時でした。
締め切りから逆算すると、制作期間は1ヶ月ちょっと。
間もなく第一子を産んで新生児の育児に追われている状態で制作は無理だろう・・・と考え、今回は断ろうかなと思っていました。
しかし、今までのPrism展は作品の制限とか、共通のテーマを持った展示会というのも一切なく、各自自由に作品を持ち寄っていたのですが
「今回の会場は高麗人参祭りの中の施設だから、一人1作品は必ず高麗人参を描かなければならない」
と、宿題付きの制作になりました。
私はその話を聞いたとき
「高麗人参!?なにそれ!すごく面白そう〜〜〜!現物を見たことがないけどAmazonで売ってるかな!?」
と異常に高麗人参っていう馴染みの浅すぎるモチーフに対して心が踊って・・・
自分は現地に行けない状態ではありましたが、搬入や搬出、設営は他の作家の方々にお願いして参加させていただくことになりました。
こちらが展示会の私のスペースです^^
制作期間は、予想をはるかに超える育児の大変さとマタニティブルーで涙が止まりませんでしたが・・・
その中でも何とか作品を仕上げることができました!><〜奇跡!
搬入前日、韓国の「国慶節」でEMSが途中でストップし搬入の時に作品が到着していないトラブルが起こり
「作品まだ届いていないよ!」と現地の搬入してくれた方に言われた時は頭が真っ白になりましたが、
何とかその後作品も無事に到着したようで・・・何事もなかったかのように展示することができました。
ロンドンの展示に出させていただいた「夢蕎麦を食べる獏」と、そのアフターストーリー「夢に潜水」の世界を発表しました。
「夢に潜水」の作品は、Storyのページに掲載しましたのでよろしかったらそちらと併せて以下の内容をご覧いただけたらと思います。
「夢に潜水」
悪夢を食べる伝説の獏たちは、大きな丼に広がる夢蕎麦(悪夢蕎麦)を10頭で協力しながら食べきりました!
獏たちはその後、黒雲のような蕎麦を食べきった後の世界は一体どうなっているのか見たくなりました。
そして次々に獏たちは丼(夢の世界)に潜っていきます。
ぐんぐんと前進すると、黒雲のような夢蕎麦で今まで覆われていた世界露わになり、
色々な場面が、世界が、前後左右至る所に何層にも広がっていて、
獏たちは食後の運動〜という感じで自由気ままに探索を始めるようになりました。
ある一頭の獏は深く潜って行くうちに、薬草の海が何層にも広がる世界へたどり着きました。
奥に行くほどに違った薬草の海が広がっているので、その先に何があるのかがとても気になりました。
最奥地には一際光り輝く場所があり、その草のてっぺんには真っ赤な実が実っていました。
おやおや・・・もっと潜るとそこには!
巨大な高麗人参がいっぱいある!!!
「すごい!これはみんな(他の獏たち)に知らせないと!!」
ということでスマートフォンで現場を撮影し、仲間たちを呼びあつめました。
10頭の獏たちが集まり、夢の最奥地から巨大な高麗人参をみんなで持ち帰ることにしました。
そこで悩むんですよね。最後の結末をどうしようか。
私は獏たちと相談しました^^;
「大盛りの参鶏湯にする?」
「でも夢蕎麦食べた後なのに、またご飯の時間っていうのも辛いよね。」
「お酒を作る?」
「みんながお酒を飲めるわけじゃないからそれも辛いな。」
「日本だとサプリメントの状態を一番見るよね。」
「でもサプリメントを絵で表現するのもなんだか広告みたいで夢がないような・・・」
「お茶はどうかな?」
「うん、お茶だったら良いかも!」
という感じで・・・
その後、獏たちは真心込めて「すごい高麗人参茶」を作りました。
高麗人参のお茶の噂は瞬く間に広がり、多くの動物達の病気を治しました。
という作品でした^^
私は「夢蕎麦を食べる獏」を描いた時に伝説の獏とはいえ、悪夢を食べ続けるのは簡単ではないだろうなと思っていました。
でもそのいつ終わりが来るのか分からないような黒雲の晴れない期間を前にしても
諦めないで続けて自分の使命の位置を守って
続けて現実の問題に立ち向かって行けば
荒波と困難に負けない丈夫な根っこが育ち、見えない所で宝石のような祝福の実が結実するような気がします。
高麗人参は長い年月を経て自分がとてつもなく栄養素を蓄えていますが、
それに伴い土地の全ての栄養を奪ってしまい、
その畑は数年単位で復帰不可なほどに枯れてしまうそうです。
高麗人参が一見静かに、一方でもりもり栄養を蓄えながら土の中で育っていくように、
自分自身に立ちはだかる苦痛、困難、様々な辛い試練の期間は、
きっと自分の根を高麗人参のように逆境を自分を育てるエネルギーに変え、豊かなものに育て、
その後隣人、家族、職場や様々な関わりのある世界をより良く変えてくれる力になるのではないかなと。
夢に潜水してきた伝説の獏たちはそんなことを教えてくれたような気がします。